大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和52年(ワ)3399号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

原告 松田合板工業株式会社

右代表者 松田英男

右訴訟代理人 尾原英臣

右輔佐人弁理士 光藤覚

被告 美津濃株式会社

右代表者 水野健次郎

右訴訟代理人 中村稔

同 熊倉禎男

【説明】

原告の主張は以下のようなものである。

一 原告は左の実用新案権を有している。

1 出願 昭和四七年六月一七日(実願昭四七―七〇九八八)

2 公告 同五二年一月二八日(実公昭五二―四一二九)

3 名称 折畳み式卓球台

登録請求の範囲

「天板裏面に設けた桟に形または形の連結用金具および前脚と後脚の各上端部をそれぞれ枢着し、横杆を連結用金具の下端部および前、後脚の中間部に各枢着部が平行四辺形的配列を構成するように枢着した一対の台A、A'を対向させ、これらの天板を突合せ端側に連結用金具を配置して突合せ、突合せ端部を蝶番手段で連結すると共に、連結用金具の前記突合せ端側に突出する突起部を互に重ね合せて横杆と一直線状に前記突合せ端直下で枢着したことを特徴とする折畳み式卓球台。」<中略>

「四 次に、イ号物件の構成を本件考案の構成要件との関係で分説すると次のようになる。

(い)’ 天板裏面に設けた桟にくの字形リンク6、6’、くの字形部材21、21'をそれぞれ99'、1010'で枢着し、かつ、リンク66'と部材21、21'はそれぞれほぼその屈曲部12、12'、13、13'で「く」の字形突出腕77'と枢着している。

(ろ)' 天板裏面に設けた桟に前脚と後脚の各上端部をそれぞれ枢着している。

(は)' 横杆をリンク66’の下端部および前、後脚の中間部に各枢着部が平行四辺形的配列を構成するよう枢着している。

(に)' (い)’ないし(は)’の構成を有する一対の台AA'と対向させ、これらの突合端側にリンク66'、部材2121'、突出腕77'を配置している。

(ほ)' 三つの部材、リンク66'、「く」の字形部材2121'および突出腕77'が全体として蝶番の機能をかねている。

(へ)' 部材21、21'を22で重ね合せ枢着し、また突出腕77'の先端突起部88'を14で重ね合わせて枢着している。」

【判旨】

3 そこで、まず、イ号物件の(い)'の構成を本件考案の(い)の構成要件に照らしてみるに、イ号物件が本件考案にいう「形または形の連結用金具」の点で相違のあることは原告も自認するところである。

しかるところ、原告は、イ号物件のリンク66'と突出腕77'の構成は形の連結用金具から推考容易な設計変更であるから、右の二部材の構成が「形の連結用金具」に該当する旨主張しているので検討する。

まず、本件考案において形または形の連結用金具が果す機能についてみるに、それは、右金具を天板の突合せ端側に配置し、金具の上端部を天板裏面に設けた桟に枢着し、金具の下端部を横杆に枢着し、金具の突起部を互に重ね合せて突合わせ端直下で枢着することによつて、天板に対する脚の拡開、折畳み動作と、一対の天板の拡開、折畳み動作とを連動して行わせるところにあると解される。そして、右のような機能からすると、本件考案における形または形の連結用金具は、金具全体が一体的に形成されたもので、卓球台の折り畳み運動にさいしても常に同じ形状を維持しているものと考えていることが明らかである(本件考案において、連結用金具の垂直方向部分と横方向の突起部分が一体でなく枢着されているものを想定すると、いまもし拡開状態の台に横方向の力が加わつた場合、前脚、後脚とも将棋倒しのように横倒れの状態になり、卓球台として正常な使用状態を保つことができない。)。

しかるところ、イ号物件におけるリンク66'と突出腕77'は一体でなく枢着された関係にあるため、本件考案における連結用金具のような機能を果すことができず、その作用効果が異なる。すなわち、いま本件考案において連結用金具をリンク66'と突出腕77'との組合せ部材によつて置換えたとすれば前記括孤内で示したとおり卓球台が横倒しになり正常な使用状態を保つことができない。そして、イ号物件においては、このようなことが生じないようにするため、突出腕77’の中間部に「く」の字形部材2121'の中間部を枢着させているということができる(したがつて、イ号物件における連結機構は原告が主張するように「リンク66’、突出腕77’」と「部材2121’」とを別々に切り離して理解すべきではなく、右の三部材を全体的、有機的に観念して一個の連動する金具と解すべきであり、この点に関する被告の主張する六4の見解は正当である。)。

そうすると、イ号物件におけるリンク66’、突出腕77'の構成を形連結用金具の設計変更であるという原告の主張は失当である。

4 してみると、イ号物件の構成は爾余の点について検討するまでもなく本件考案の構成要件を充足しないことが明らかである。

三よつて、イ号物件が本件考案の技術的範囲に属することを前提とする原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(畑郁夫 中田忠男 小圷眞史)

図面<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!